こんにちは。鍼灸師の翁です。急に汗かきになった、額や手のひらなど一部分だけ大量の汗が出る、寝て起きたら上半身だけ汗をかいているなど、身に覚えはありませんか?
毎年夏の暑さが更新され、私たち身体の体温調節の働きも乱れている可能性があります。今回は汗のメカニズムについて少し話していきます。
汗の主な働き
【体温調節】
気温が高い場合や運動をした場合など、体温が上がった時に身体の体温を下げるために分泌されます。
手のひらや足の裏を除く全身のエクリン汗腺から持続的に発汗し、体温の調節を行います。
【老廃物の排出】
体内の不要な老廃物や毒素、余分な水分を排出する役割もあり、汗をかくことで新陳代謝が上がります。
また、汗と一緒に皮膚に詰まった毛穴の汚れや角質なども一緒に排出するため、皮膚を清潔に保つ効果もあります。
多汗症
手のひら、脇、額など体の特定の部位に大量の汗が出る症状のことをいいます。
汗のメカニズムが崩れる原因
【自律神経の乱れ】
緊張や興奮といった精神的なものがきっかけとなって、手のひらや足の裏、脇などに大量の汗が出ることがあります。
最近では気候変動による寒暖差によって自律神経が乱れているケースも増えています。
発汗は交感神経の働きによるものです。自律神経のバランスが乱れてしまうと発汗を促す交感神経が過剰に刺激されコントロールが利かなくなり大量の汗が出てしまいます。
睡眠不足や生活リズムの乱れ、ストレスなども自律神経のバランスを崩す原因となります。
【運動不足】
運動不足により汗をかく機会が減ると心臓から遠い汗腺の働きが低下します。
そうなると、汗のかきやすい汗腺が発達している場所から汗を出し、体温の調節を行うようになります。
そのため、一部の汗腺だけが活発に働き多汗症の症状を引き起こす要因となります。
【生活習慣】
自律神経の乱れでも話しましたが、食生活の乱れや喫煙、過度な飲酒や睡眠不足など、日頃の生活習慣が要因となります。
その他にも汗の量が尋常でない、不自然な場合は、他の病気が隠れている場合もあります。
糖尿病
糖尿病によって神経障害を併発し、末梢神経や自律神経の働きが損なわれると、大量の汗をかいたり、一部だけにかいたり、逆にまったくかかなくなったりする場合があります。
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまうため
新陳代謝が活発になり、暑がりになって多量の汗をかくといった症状があらわれます。
更年期障害
更年期障害は、女性ホルモンのバランスが大きく変化するため、エストロゲンの分泌量が低下し自律神経が乱れ、顔がほてる、のぼせる、急にカーッと熱くなり汗が大量に出るなどの「ホットフラッシュ」と呼ばれる症状が起こる場合があります。
※更年期とは、一般的に女性の閉経前後の約10年間(45歳~55歳頃)
遺伝
重症の多汗症の人の場合は遺伝的な要素も関係していると考えられています。
多汗症を体質から改善する方法
対策
◎有酸素運動で汗腺を働かせる
汗腺を働かせるには、有酸素運動が効果的です。激しい筋トレなどの無酸素運動だけでは、急激に汗をかくため、汗腺がしっかりろ過し不純物を除去する作用が上手く働ず、質の悪い汗(ベタベタ汗)になってしまう可能性があります。質の良いい汗(サラサラ汗)をかくにはゆっくりとした有酸素運動がお勧めです。20~30分程度、汗ばむ程度の速さでウォーキングなど行うと良いでしょう。
無酸素運動も筋肉量が上がり、代謝アップに繋がります。理想は有酸素運動➕️無酸素運動で体質改善を図りましょう。
◎入浴 (半身浴や手足高温浴)
高温の湯での全身浴では、3分から5分浸かるのが限界でのぼせの原因にもなります。汗腺を鍛えるには、半身浴か手足高温浴をお勧めします。
半身浴では、40℃前後のお湯に、みぞおちあたりまで10~15分浸かります。ぬるめなので長時間浸かることができ、体の芯から温まり、いい汗が出ます。
手足高温浴では、手から肘下、足から膝下辺りを43~44℃の湯に10~15分浸けます。腕や脚の汗腺は衰えやすく、これを鍛えることで衰えていた汗腺が働き出します。こまめに水分補給も忘れずに!!
◎食べ物
食事には、血行を促進するショウガや、代謝アップに有効な酢など。
女性ホルモンに似た働きをもつイソフラボンを含む大豆製品。汗を抑える効果があります。
汗のにおいが気になる場合は、肉類や脂っこい食べ物は控えましょう。
抗酸化作用のあるビタミンCを含む野菜や果物も気分もリフレッシュできてお勧めです。
◎鍼灸治療やアロママッサージ
鍼灸治療やアロママッサージには、血行促進し、身体の緊張を緩めたり、不安やストレスによって起こる自律神経の乱れを整える働きがあります。
今年は、春頃から猛暑になると言われています。この機会に体質改善を図り、自己免疫力を高め、質の良い汗をかきましょう。