こんにちは。アロマセラピストの吉川です。

12月に入り、街のあちこちでイルミネーションが点灯し始めましたね。仕事終わりにウェルネスから駅に向かうと、キラキラと御堂筋のイルミネーションが目に入ってきます。コロナ禍で昨年は静かなクリスマスでしたので、行きかう人が楽しそうにイルミネーションを見上げている光景を見るだけでも、こちらもワクワクした気分になってきます。 新たなコロナ株が見つかりましたが、感染拡大することなく、新しい年を迎えられればと願うばかりです。

 

さて、今回のブログは「精油」についてのお話です。

 

 

ウェルネスでは使用している精油の種類が多いことが自慢です。アロマトリートメントを受けていただく際には、お客様のお好みやその時の症状やお悩みに合わせて「芳香」と「ボディケア」の2種類のブレンドをご用意しています。

 

また使用する精油は高品質で知られるプラナロム社の精油を使用していることも自慢です。

 

では、この「精油」って、何でしょうか?

 

「香り」が「癒し」や「ストレス軽減」に役立つことはよく知られるようになり、アロマ専門店はもちろん、専門店以外でも、雑貨屋さん服屋さん、化粧品売り場でも店頭に並び、ネットでも手軽に購入することができます。 また、本の付録や電化製品を扱うお店でも関連グッズとして売られています。 そして、洗剤や芳香剤の香りとして「アロマ」という文字がパッケージにあったり、私たちの生活の中にすっかり定着したものになっています。

 

「精油」「アロマ」という言葉が生活の中で目にすることが多くありますが、では「精油」や「アロマ」はどんなものなのか、説明できる人は多くはないように感じます。

身近にあり、手軽に使えるものだからこそ、正しく知って、より効果的に安全に心地よく使っていただきたいと思っています。

 

「精油」は「エッセンシャルオイル」とも呼ばれ、樹木の樹皮、実、草花、ハーブなどの植物から抽出された天然の芳香成分です。  植物の違いはもちろん、抽出される部位により同じ植物でも違う精油になります。

 

 

例えば、「ネロリ」という精油はビターオレンジの木の「花」を抽出しています。「果皮」の部位は「ビターオレンジ」、「葉と枝」の部位は「プチグレン」とそれぞれ違う精油となっています。 1本の木であるのに名前が違うだけでなく、「香り」もその「効能」も違っています。

 

抽出された「精油」はその成分が凝縮されたものとなり、濃厚な分、体への反応が強くなります。 「精油」は実は思っているよりも「強く」「しっかりした」ものです。 使い方次第では、効果が高すぎてしまうこともあり注意が必要でもあるのです。

 

アロマテラピーの始まり

「アロマ」とはギリシャ語の「香草・香辛料」を意味し、植物から発する香りという語源があります。 「アロマ」とは「香り」を指し、よく耳にする「アロマテラピー」は「精油」を使った「療法」のことです。 芳香療法とも言います。

「アロマテラピー」は精油を焚いて香りをたたせて行う「芳香浴」や、キャリアオイルと呼ばれる植物オイルで希釈したオイルを使ったマッサージの「アロマトリートメント」など、心身の健康やリラクセーション、ストレス軽減を目的に行います。 また、バスソルトに精油を加えてのて手浴、足湯もアロマテラピーになります。

「療法」と呼ばれるように「精油」には、「香り」と「成分の効能」はただ香りを楽しむだけでなく、心身の健康につながる「効果」が期待できるものです。

 

「アロマテラピー」という名前が生まれたのは1920年代で歴史は古くはありません。 フランスの化学者ルネ=モーリス・ガットフォセが研究中に火傷をし、とっさに偶然近くにあったラベンダーオイルに手を浸したところ、火傷が悪化せず跡が残らず治ったことをきっかけに精油の研究を始め、のちに「アロマテラピー」という名前を作りました。

偶然近くにラベンダーオイルがあった、ということは、その時代には身近なものとして「精油」は使われていたと考えられます。

 

 

香りの歴史

「香り」の歴史は大変古く、神への儀式や死者への弔い、病の薬や異性への媚薬として使われてきたと考えられています。 紀元前のエジプトでは香りは神への捧げ物とされ、薫香と呼ばれる芳香浴は悪魔祓いに使われ、すでに病を治す薬として使われた記録があります。 この時代は「香り」は特別なものとして位置づけられ、神にまず捧げられ、僧侶や支配者が使うことを許され、そののち側近たち、そして民衆へと広がっていきました。

 

太陽神ラーに捧げるため、日の出と共にフランキンセンスが焚かれ、正午はミルラ、日が沈む頃はキフィと呼ばれるたくさんの種類の香りをブレンドした物が焚かれていました。驚くことにこのブレンドしたキフィの香りは、不安を鎮め、眠りを誘い、楽しい夢を見ることができたといいます。 この時代ですでに、「香り」の心身への効果を知り、使っていたことに驚きます。

 

またエジプトでは「香り」を楽しむだけでなく、太陽の強い日差しから皮膚を守るためにも使われていました。 「香油」と呼ばれ、ユリから抽出したユリ油が珍重されたと言われています。 ユリの香りが素晴らしかったと想像ができます。

また、メンデシウムと呼ばれる「香油」にはホースラディッシュツリー(最近では「モリンガ」という方が知られています)の実の油とミルラやフランキンセンスが入っていたと記録があります。

 

この時代の遺物には「香油」や香りから作った「軟膏」などを入れる豪華な入れ物などが多く残されています。 エジプトの壁画には、帽子のようなものを頭にのせた女性の姿がありますが、帽子に見えるものは動物性の油脂に香りをブレンドした「軟膏」で、体温で少しずつ溶けて、頭を伝って体にも香りを染みこませていったと考えられています。今でいうと「香水」のようなもので、壁画からも社交場などに出かける際に使われていたと思われます。 「香り」がすでにおしゃれのひとつとして使われていたことがわかります。

紀元前のエジプトは様々な「香り」が漂っている「香りの国」だったのではないでしょうか。

 

このように「香り」を神への捧げものとして、心身へ影響する薬として、また人との交流の際のものとして使われていたことは、すでに「精油」が人の生活の中で重要な役割をしていたことがうかがえます。

また、エジプトと言えばピラミッドとミイラです。ミイラは死者の魂が蘇った時に肉体が必要であるという考えから死体を保存した物です。 ミイラを作る過程ではたくさんの香料が使われています。 ミイラの語源は、精油の「ミルラ」からと言われています。 精油には「殺菌」や「防腐」の効能があることをすでに知っており、また神の前に収めることから香りを捧げていたと考えられています。

 

この時代に化学的な研究はなされていなかったはずですが、人々は「神」への畏敬の中で「香り」を特別なものとし、経験からその効能を取り入れながら暮らしていた様子を想像することができます。 そして「香油」は植物から抽出しますが、抽出するには大量の植物が必要になってきます。

時代が進んでいくと「香り」は権力の象徴になり、高価な香りの植物の栽培や貿易が発展していき、「香り」が国の豊かさをもたらすものとなりました。 そのため各国で「精油」の研究が盛んになり、より多くの「精油」を効率よく抽出するための方法も開発されていきました。10世紀頃に開発された「水蒸気蒸留法」は現在ではより複雑な装置になっていますが、基本原理はそのままに受け継がれています。 この頃には現代のアロマテラピーへつながる礎が作られていたと考えられます。

 

「精油」の選び方

「精油」は植物の数だけあると言われています。 植物にはそれぞれその成分の特質があり、自然と共存してきた人の歴史の中で生きていくために様々な方法で取り入れられてきました。 そのまま食すことはもとより、最近注目されている「和ハーブ」はシソやミツバ、ワサビ、サンショウなど昔から「薬味」として使われています。 「薬味」という文字のとおり、食べ物の殺菌や防腐、消化吸収など「お薬」として使われてきたと考えられます。 また「薬味」の他に煎じて「お茶」として飲まれます。 雑草のようなドクダミやヨモギ、スギナなどは「煎じ薬」として「民間療法」で使われてきています。 煎じたり、料理につかう「漢方」や「スパイス」も「精油」と同じように歴史の中で効果が試され、研究がなされて、近年では詳しい成分分析により、より効果的に使われることが可能になってきました。

同じ「精油」であっても詳しく調べていくと、その植物の育った環境によって成分に違いがみられます。 ラベンダーはよく知られた「精油」であり、その「香り」を多くの人が「こんな感じ」と知っていると思いますが、実はラベンダーは世界中で栽培され代表的な系統だけで6つもあります。 同じ系統であっても栽培環境によって「香り」や「成分」が違ってくることが研究によりわかっています。 ラベンダーの効果の代名詞である「リラックス」の成分もそれぞれのラベンダーに多い少ないがあり、中には成分自体がないラベンダーもあります。 また、それぞれ香り方にも違いがあります。 「精油」を選ぶ時には、ひとくくりにみるのではなく、欲しい「成分」があるのか、好ましい「香り」であるのかを嗅いで確かめることをおすすめします。

そして、選んでいくときに重要なことは「自然のもの」「天然の植物」であるのか、です。 最近は芳香剤などに「天然由来」や「フレッシュアロマ」という表示をよく見るようになりましたが、わざわざ表示するということはそれが「特別」ということにもなります。 実は私たちの身近な「香り」には「作られた香り」も多くあります。 「香り」は人の五感で感じるもので、個人の好き嫌いはあります。 自分が気に入ったものを選ぶのが良いですが、より「香り」に効果を求める際には植物の成分がある「香り」を選ばれることをおすすめします。 また、「精油」は製造しているメーカーによっても「香り」が違っていますので、いろいろ試しながら、自分に合う「精油」をみつけていくのも楽しいかと思います。

 

「精油」の使い方

「精油」は植物の成分を抽出によってぎゅっと凝縮されたものです。 例えば高価なことで知られている「ローズ」は1mlのオイルを抽出するために約2600本のバラが必要になります。 バラ自体が高価な植物ですが、2600本の花びらからわずか1mlしか抽出できないため高価な精油になりますが、注目する点は大量の花びらから抽出されたものがわずかである点です。 それだけ成分が凝縮されているとイメージできるかと思います。

「精油」は植物の成分が凝縮されているため、1滴でも効果を十分得ることができます。 精油の瓶は主に1滴が0.05mlです。「ローズ」を例にすると1滴で約130本分のバラが使われていることになります。 華やかに濃厚な香りはその凝縮した成分の賜物です。

「ローズ」に限らず、「精油」は凝縮されたものだからこそ、香りも濃く、成分も濃くなっています。 欲しい効能があったとしたら、より良く効いて欲しいと思うものですが、適量を使用することが安全にそして効果的に使って頂ける方法です。

 

そして重要なことは、適量を守って「希釈する」ということです。

製品として売っているアロマソルトやマッサージオイルはそのまま使っても大丈夫ですが、「精油」をご自分で使う場合は必ず希釈が必要です。 凝縮された成分は、体内の中に取り込まれると吸収代謝の生理作用は始まります。 その際に皮膚への反応が出たり、吸収代謝で臓器に負担がかかり体の反応が起こる可能性があります。

最近は様々な情報から、夏場は暑さ対策にシャワーの後はペパーミントのオイルがいい、冬場の足湯や入浴にローズマリーやダイエットに効果があるグレープフルーツがいい、と使われている方が多いと聞きます。専用の製品であれば問題ないですが、「精油」をそのまま肌に付けたり、お湯に入れても効果は薄くなります。 特にお湯にそのまま入れると「精油」は油ですので、お湯の表面に浮いてしまい、効果が薄くなるばかりか肌に直接付いてしまうので肌荒れの原因になるかも知れません。

お好きな「精油」を楽しまれる場合は、希釈して安全にご使用ください。

但し、直接皮膚につけてもOKな「精油」もあります。 ラベンダーとティートゥリーです。

ラベンダーはアロマテラピー発祥の際にラベンダーオイルがきっかけでしたが、実際に火傷などの傷などに効果があります。ティートゥリーは第二次世界大戦の際に止血や傷口の消毒殺菌に使われた記録があります。ちょっとした切り傷には止血効果が高いです。 身近に置く「精油」ではおすすめです。

 

「精油」の豆知識

アロマテラピー(芳香療法)の発祥の地であるヨーロッパでは「精油」は「薬」と分類され、薬剤師のいる薬店や専門店でしか「精油」は購入できません。 症状に合わせた調合をされ、安全に効果的に使用できるようになっています。 日本では「精油」は「雑貨」の扱いになっており、そのため専門店以外でも購入ができます。 日本においてはPL法により、販売や使用についての法律が整備されています。 商品の使い方などに従って、正しく使えば問題はありません。

 

まとめ

「精油」には古い歴史があり、「香り」は自然のものだからこそ、見えない力を人々は感じて神にささげるものとしていたのかも知れません。 やがて「香り」を楽しみ、成分効能を利用した「療法」へと発展し、現代では化学にも基づいたアロマテラピー(芳香療法)が確立されました。 「精油」は正しく使えば、エジプト時代のように自然からの恩恵を受けながら「香り」を生活に取りいれて豊かに過ごすためのアイテムの一つになるのではないでしょうか。

 

是非、お気に入りの「精油」みつけてみてください。