こんにちは。アロマセラピストの吉川です。
コロナ禍はオミクロン株の出現で再び感染拡大をしています。これまでのウイルスとはまた違い、罹患への不安が重症化することよりも日常の生活が滞ることへの心配や不安を感じている人が多くなっています。
蔓延防止策や罹患者への対応措置など、国や自治体の取り組みは日々変化がありますが、私たちが出来ることは今までと同様に手指の消毒やマスクの着用、大人数での会食を避けるなど、個人個人で対策することに変わりはありません。
重症化しにくいとはいえ、やはり罹患しない方が体への負担はありません。そこで今回はアロマを感染対策に取り入れて、コロナ禍の中でもアロマの香りを楽しみながら感染予防や免疫力をアップしていける精油の使い方をお話します。
アロマテラピーに使われる精油は植物から採った植物油です。植物の成分が凝縮されており、太古の昔から薬の役割も担ってきました。
感染予防に効果のある精油の話では「4人の泥棒の酢」が有名です。
所説あると言われていますが、1628年から1630年にかけて南フランスのトゥールーズではペストが流行って多くの人が亡くなりました。そんな混乱の中でペストに感染しないで盗みを重ねていた4人の泥棒がいました。
捕まった時、ペストに感染しなかった秘密を明かす代わりに釈放するという司法取引をし、その秘密が公になりました。泥棒たちはセージ、タイム、ラベンダー(ミントという説もあり)、ローズマリーの入ったハーブビネガーを飲んだり、体に塗ったりしていたそうです。その後ヨーロッパではハーブビネガー作りが盛んとなり、現代でも多くのレシピが使われています。
また、古くからローズマリーなどは魔除けとしても身近に使われ、ペストが流行した時は教会の床にタイムなどのハーブと共に魔除けの意味で敷き詰められたと記録が残っています。
近年では第二次世界大戦時、不足した消毒薬の代わりにティートゥリーが使われ、血止めとしても用いられました。精油は身近にある植物から作られ、多くの人が比較的手に入れやすいということから日常の生活の中で慣習的に使われるようになったと考えられます。
【感染予防に効果が期待できる精油】
精油には植物によって固有の個性があり、香りも効能もそれぞれに違いがあります。その中で感染予防や免疫力アップにつながるおすすめの精油を紹介します。
まず、「4人の泥棒の酢」の精油です。泥棒たちはたまたま盗みに入ったビネガー醸造所で、そこの人たちがペストに罹らずにいることを不思議に思い盗んで使い始めたという説があります。
・セージ
ラテン語で「救う」「癒す」という意味がある精油です。長寿のハーブとも言われ、古くから使われてきました。去痰作用があり咽頭炎などに効果が期待できます。鎮痛、鎮静作用もあります。
・タイム
強い抗感染作用、抗菌、抗ウイルス作用を持つ感染予防にはぴったりの精油のひとつです。育つ環境から多くの種類があり、それぞれに成分の含有量や香りが違っていますが、甘みも感じるハーブ調の香りは芳香としても取り入れやすい精油です。
・ラベンダー
リラックスのアロマとして多くの人が知っている身近な精油のひとつです。リラックス作用により緊張を和らげ、副交感神経を活発にします。鎮痛、鎮静作用が痛みの緩和もしてくれます。抗菌、抗感染作用、抗ウイルス作用もあり、免疫力アップと感染予防も期待できる使いやすい精油です。ラベンダーも多くの種類がありますので、期待する効能と好みの香りをみてみるのがおすすめです。
・ローズマリー
若返りの精油ともいわれ、古くからハーブ薬として用いられ料理にも使われるヨーロッパでは生活に根差した精油です。クリアなハーブ調の力強い香りは「魔除け」として使われていたことにも納得ができます。抗菌、抗感染症作用、粘液溶解作用など感染予防に高い期待ができます。
次に、精油は殺菌作用や抗感染作用など、日常の中で役立つ作用をそれぞれ多く持っています。その中でも、高い抗菌、抗感染、抗ウイルス作用を持つおすすめの精油です。スッキリとした清潔感のある香りは感染予防への期待も高めてくれます。
・ティートゥリー
戦場での消毒薬代わりに使われた精油だけあり強い殺菌作用があり、抗真菌、抗ウイルス作用があります。空気中の酸素と反応して雑菌を除去する作用もあり、原産国のオーストラリアでは生活の中で様々に活用されています。免疫調整作用もあり、感染症対策にはぴったりな精油です。
・ユーカリ
抗ウイルスに優れた精油として有名な精油です。抗ウイルス作用に加えて、去痰、抗菌、抗感染、抗真菌、殺菌作用など、力強い効能を多く持っています。
テートゥリーと同様オーストラリアに広く分布し、コアラが食べる葉としても有名です。ユーカリも多くの種類があり、それぞれに葉の形や香りも違います。その中でも、「ユーカリ・ラディアタ」は免疫調整作用や抗菌作用などある「シネオール」と抗ウイルス、抗炎症作用、抗真菌作用などある「モノテルペノール」という組み合わせから感染予防には最適な精油と言われています。
・ラヴィンツァラ
マダガスカルの熱帯雨林に分布するクスノキ科の高木の葉の精油です。現地では「よい葉」という意味を持ち、古くからお茶や湿布薬などに使われてきました。
抗ウイルス、抗炎症、免疫調整作用があり、加えて抗アレルギー、鎮咳作用もあり気管炎症に効果が期待できます。「ラヴィンツァラ」は同じくマダガスカル原産の「ラベンサラ」と混同されることがありますがラヴィンツァラとは異なる植物であり、効能や香りも違います。購入される時はラベルなどを確認してください。
・タイム
「4人の泥棒の酢」でもお話しましたが、タイムのおすすめポイントは強い抗菌力です。代表的なタイムの種類として「タイム・リナロール」「タイム・ツヤロール」があります。どちらも強い抗菌作用、抗ウイルス作用などに加えて、免疫調整作用や肝臓強壮作用、肝細胞再生作用など体の調整を促して免疫力を上げる作用も持ち合わせています。
さらに、香りにプラスしてリフレッシュや免疫アップが期待できる精油たちです。柑橘系の精油には「リモネン」という成分があります。
「リモネン」は疲れに効くアロマとも言われ、主に鎮静作用、血行促進作用があり、神経を鎮めて自律神経のバランスを整えていき、内臓の働きを活発にして、結果免疫力のアップが期待できます。香りも多くの人が好む、爽やかで安心して嗅ぐことができる、まさに不安や心配を取り除いてくれるリフレッシュにピッタリな精油です。
・レモン
レモンは地中海のイメージがありますが原産国はインドです。ヨーロッパには十字軍の戦いがきっかけで栽培が広がったと言われています。消毒作用もあり、特に気管支炎や咽喉炎など喉の症状に効果が期待できます。止血など傷や虫刺されにも効果があり、使いやすい精油のひとつです。
・グレープフルーツ
利尿作用があり、体内の余分な水分を排泄させて浮腫みのケアによく使われます。幸せな気分にさせてくれる香りとしても有名で、過食気味の人がグレープフルーツの香りを嗅ぐと心が満たされて食欲を抑えられると言われています。心身ともに元気にしてくれる、免疫力アップにピッタリな精油です。
・オレンジ
「リモネン」が成分のほとんどを占めているオレンジは最強の「疲れに効く精油」です。明るい気持ちにさせてくれるオレンジの香りは日本人にとって親しみやすい「みかん」のような香りで、嗅ぐだけで気持ちが落ち着きリラックスできます。ビタミンCの吸収を促進し、風邪予防の効果も期待できます。
・ベルガモット
ベルガモットの名前の由来は栽培が始まったイタリアの小都市「ベルガモ」からと言われています。「リモネン」の他にバランスや調和の成分である「エステル」が多く含まれ、緊張を緩めながら、気持ちを前向きにしてくれます。「勉強部屋の香り」とも言われ、リラックスしながら集中したい時に使いたい精油のひとつです。
【感染予防対策にアロマをプラス】
感染者の数が増えたりウイルスの特性が変化しても、私たち個人が出来る感染対策はコロナ禍が始まってから変わることはありません。人との接触を出来るだけ避け、マスクの着用、手指の消毒、帰宅時の手洗いうがい、そして適切な食事と睡眠、適度な運動など免疫力を落とさないように規則正しい生活を送ることが望ましいですね。
特に、外出する時のマスクの着用、手指の消毒は多くの人の協力で社会での感染対策が行われています。そんな中でも最近の感染者の増加はいかにコロナウイルスの感染力が強いかを思い知らされます。
当たり前になっている感染予防にアロマの香りを添えて、少しでも明るく元気に対策できればと思います。
・手指消毒にアロマ消毒スプレー
ウエルネスでは受付に手指消毒用の消毒液を設置しています。鍼灸の治療時に使用している消毒用のアルコール液にティートゥリー、ユーカリ、ローズマリーなどの精油をプラスしています。シュッとしたあとに「いい香りですね」と言って頂くことも多いです。
自宅で作る場合は使いたい精油と無水エタノール、精製水、スプレー容器を準備しましょう。無水エタノールと精製水はドラッグストアで購入することができます。
<作り方>
100mlのスプレーを作ります。 1%濃度
精油は数種類組み合わせてOKです。
・精油(アロマオイル) 20滴(1滴=0.05ml)
・無水エタノール 20ml
・精製水 80ml
・スプレー容器 100ml用アロマ対応容器
・ビーカー
①スプレー容器に無水エタノールと精油を入れて軽く振って混ぜ合わせます。
②さらにスプレー容器に精製水を加えて、しっかり蓋をしめてよく振って混ぜ合わせます。
☆完成です!
簡単にできますので是非、作ってみてください。精油の組み合わせによって、白濁する場合がありますが 問題はありません。日差しを避け、1カ月ほどで使い切ることをおすすめします。
手指の消毒だけでなく、濃度が1%ですので室内除菌にも安心して使えます。また、テッシュペーパーなどにスプレーして、マスクの中に挟むのもおすすめです。この場合はスプレーした面が肌に触れないように注意してください。用途が広い、1本作っておくと便利なスプレーです。
・アロマオイルでリラックスと免疫アップ
アロマトリートメントではキャリアオイルと呼ばれるオイルに精油を加えてトリートメントをします。施術者の手によってのトリートメントは格別の心地よさですね。トリートメントはリラックスすることで、自律神経のバランスが整い、精油の効能と共に免疫力のアップが期待できます。そんなトリートメントの効果は自宅でも取り入れることができます。
まずキャリアオイルを準備します。多くの種類がありますがスタンダードなもので「スィ―トアーモンドオイル」「グレープシードオイル」「ホホバオイル」がおすすめです。
「スィ―トアーモンドオイル」はナッツ系の匂いが少ししますが、赤ちゃんにも使えるオールマイティーなキャリアオイルです。さっぱりした感触が好ましい方は「グレープシードオイル」がおすすめです。匂いがなく使いやすいキャリアオイルです。「ホホバオイル」は匂いがなく滑りがいい安全性にも優れたキャリアオイルですが、バターのように低温で固まる性質があり保管に注意が必要です。
購入は精油と一緒にアロマ専門店で購入することができますのでお好みのものを選んでください。
<作り方>
30mlのアロマオイルを作ります。 1%濃度
精油は数種類組み合わせてOKです。
・精油(アロマオイル) 6滴(1滴=0.05ml)
30mlの商品を購入すると便利です。
・キャリアオイル 30ml
・蓋つきの30ml用の化粧品用の容器
①容器にキャリアオイルを入れ、精油を加えて軽く混ぜ合わせる。
☆完成です!
必要なものがそろえば簡単に作れます。キャリアオイルの瓶をそのまま活用することも簡単ですが、容器の上部に余裕が少ない商品もありますので別容器を準備しておくと安心です。
使い方として、まず手のひらにオイルをとり、手のひらを合わせてオイルを温めます。首筋や肩、ふくらはぎなど気になるところにゆっくり塗ってみましょう。
手の温かさが心地よく、ふわっと香るアロマの香りがリラックスを促してくれます。また、お休み前に胸元に薄く塗ることもおすすめします。香りが鼻もとにたち、良い睡眠の手助けになります。
オイルは浸透性がありますが衣服に付かないように手に取る量を調整ください。また、キャリアオイルは封を開けたところから酸化が始まります。アロマスプレー同様、1カ月ほどで使い切ることをおすすめします。
【作る時の注意事項】
日本には精油に関する法律があります。日本では精油は雑貨扱いとされています。
自分でブレンドしたアロマを販売目的で製造することは禁じられています。ご自分でブレンドしたアロマスプレー、アロマオイルは、あくまでも個人で使用するものです。ご注意ください。
【まとめ】
コロナ禍の終息はまだ見えない状況ですが、感染対策をしながら心身ともに健全に日常生活を送りたいですね。
感染対策が必須の毎日ですが、アロマの香りがコロナ禍の生活の彩りになればと思います。
是非、この機会に感染予防に期待できる精油を生活の中に取り入れてみてください。
ウエルネスでは常時40種類以上の精油を揃えています。気になった精油の香りを確かめて頂けます。アロマトリートメントをご利用の際はご遠慮なくお申し付けくださいませ。ご質問などもお受けしております。