「目が重い」「目がかすむ」「夕方になると目がしょぼしょぼする」など、目の症状を感じたことはありませんか?
パソコンやスマートフォンなどの普及により、ウェルネスでも目の症状を訴える方がとても多いです。
また何時間も同じ姿勢でモニター画面を見続けることで、目の疲れが蓄積され目だけでなく全身の不調を伴うケースもあります。
目がかすむ、目が重い、充血する、目の奥の痛み、ドライアイ、まぶたが開き辛いといった目の症状だけでなく、頭痛や肩こり、吐き気、不眠、食欲や集中力の低下、全身の倦怠感など、全身の症状も伴うこともあります。
ただ目が疲れているだけと放置しないようにしましょう。
などがあります。
1の近くばかり見ている毛様体筋の緊張による眼精疲労について説明します。
目には自動的にピントを調節する機能が備わっており、目の中にある「毛様体筋(もうようたいきん)」という筋肉が縮んだり緩んだりすることで水晶体の厚さを変え、ピントを合わせています。
近くを見る時は、レンズとなる水晶体を厚くするために毛様体筋が緊張します。
しかし足や腕の筋肉が長く緊張していると疲れるのと同じように、毛様体筋も緊張状態が長時間続くと疲れてしまいます。
また毛様体筋は自律神経に支配されているため、長時間この毛様体筋を酷使すると自律神経のバランスも乱れ、目だけでなく全身にも影響してきます。
そのほかにも遠くがよく見える様に矯正されたメガネやコンタクトレンズをつけたまま近い距離で物を見続けることでも、毛様体筋の負担が大きくなり、眼精疲労を引き起こしやすくなります。
眼精疲労を軽減するために一番大切なのは休息です!
近距離で20分くらい目を使うとピント合わせる毛様体筋が疲労し始めます。疲労が軽いうちは、少し休むだけですぐに回復します。
目の疲れを感じ始める20分ごとに休憩し、数メーター先を数十秒見ることで、毛様体筋はリラックスできます。これは忙しい仕事の中でもできる回復方法です。疲れが大きくならないうちに目を休めてリフレッシュさせましょう。
遠くがよく見えるメガネやコンタクトレンズをつけたまま近い距離で目を使い続けると、毛様体筋がすぐに疲労します。
目を使う距離に合ったメガネをかけることで負担が減り、眼精疲労も軽くなります。
眼精疲労では毛様体筋など目の周りの筋肉が緊張しています。
毛様体筋に直接鍼を打つことはできませんが、目の周りの筋肉からアプローチすることで目の疲れを軽減することができます。
また首と頭の境目の深層にある「後頭下筋群」にも鍼灸治療を行います。
この後頭下筋群は、首や頭が目の動きと連動して動くのを制御する働きがあり、目を使い過ぎるとこの後頭下筋群も硬くなってしまいます。
目周りや後頭下筋群が緩むと、眼精疲労の症状も軽減され視界がクリアになります。
ただ眼精疲労を軽減するには休息をとることがとても大切です。
鍼灸治療で眼精疲労が軽減されても、また目を酷使してしまっては意味がありません。日頃から目を休ませて目の回復時間を作るよう心がけましょう。
東洋医学の観点からの、『眼精疲労』について説明していきます。
肝は血(けつ)を貯蔵しており、目を栄養する働きがあります。
眼精疲労の原因として「肝血虚(かんけっきょ)」が考えられます。
肝は血を貯蔵させたり、気(エネルギー)を巡らせる働きがあります。
しかし、睡眠不足や目の使い過ぎ、女性でいうと出産や生理などで必要以上に血が消耗され、肝に蓄えられた血が不足すると肝血虚の状態になります。
また、過度なダイエットや心身の疲労でも血が不足します。
このタイプの眼精疲労は、目のかすみやドライアイ、まぶたがピクピクするといった症状があらわれやすいです。
次に考えられるのが、気の巡りが悪い「肝鬱気滞(かんうつきたい)」です。
ストレスやイライラが続くと、全身に栄養を運ぶ「肝」の機能が低下し、栄養がスムーズに運ばれず眼精疲労が起こります。
イライラすることが多く、緊張状態が続いている人は要注意です。
このタイプの眼精疲労は、精神的なストレスが加わると目の症状が強くなるのが特徴です。
3つ目が肝血の不足が長期間続き、重症化した状態の「肝腎陰虚(かんじんいんきょ)」です。
肝の血が不足して、更に身体を潤す体液も不足している状態をいいます。
閉経後や中高年に比較的多い症状です。
性病や老化、長引く肝血虚の状態などが原因で起こります。
肝と腎は「肝腎同源」といわれ、密接な関係にあります。
肝は腎に養われていて、肝の機能を回復するためには、腎も強くしなければなりません。
そのため、肝腎陰虚タイプの眼精疲労では、肝と腎の両方の機能を高める必要があります。
白内障などの目の病気にもかかりやすくなるほか、視力の低下などの症状もあらわれるのが特徴です。
また体液が不足して体内の熱が強くなっているので、ほてりや目の充血も起こりやすいです。
身体に必要な気や血が作られず目を養えないため、眼精疲労になります。
過労や胃腸虚弱、栄養失調、出産などにより気や血が不足すると、目の乾きやかすみ目、視力の低下などが現れます。
このタイプの眼精疲労は、休むと一時的に楽になり、疲れるとまた悪化するという特徴があります。
鍼灸治療では、上記の4つのタイプ、またはそれ以外の細かい症状も見極めながら、適切な経穴(ツボ)にアプローチをしていきます。
眼精疲労の症状以外でみられる、肩こり、ほてりやのぼせ、食欲不振、頭痛など、ひとつひとつの症状や状態にも目を向けて、全身の臓腑のバランスの乱れを整えます。
そして臓腑の中でも特に「肝」の機能を高めて、「腎」や「脾」の状態も調整することで根本から改善し、眼精疲労の症状を軽減していきます。
西洋医学と東洋医学、両方からしっかりとアプローチできるのが鍼灸治療の特徴です。
加齢も眼精疲労を悪化させる要因のひとつです。
について説明していきます。
加齢によって筋肉が硬くなり身体の血行が悪くなるのと同じように、水晶体の周りの毛様体筋も硬化して動きが悪くなります。
特に40代以降から毛様体筋の衰えを感じやすくなります。
また年齢を重ねるごとに水晶体そのものが硬化し厚みが増して動きが悪くなるのも眼精疲労の要因です。
目の疲れのかげに別の病気が潜んでいるケースもありますので、眼精疲労の症状を感じた時は、早めに眼科で検査を受けましょう。そして病気が見つかった場合は、早めに治療をすることが大切です。
加齢に伴って眼精疲労を起こしやすい代表的な目の病気には、次のようなものがあります。
加齢と共に涙の分泌量も減少し、目がかわきやすくなります。
涙が減って目が乾燥し、目の表面が傷つきやすくなる病気をドライアイといいます。
加齢のほか、長時間のパソコンやスマホ画面での作業、室内の乾燥、間違ったコンタクトレンズの使用など、様々な原因で起こります。
本来は透明であるはずの水晶体が、老化によって白く濁る病気です。
目がかすむ、細かい文字が見えにくい、光をまぶしく感じるなどの症状が現れ、視力が徐々に低下していきます。日常生活に支障をきたした場合は手術が必要です。
白内障は白髪と同じように、いずれほぼ全ての人に生じる加齢とともに起こる変化です。
何らかの原因で視神経にダメージが起き、視野が欠け、狭くなる病気です。
眼圧の上昇がその原因のひとつと言われていますが、眼圧が正常にもかかわらず緑内障を発症する「正常眼圧緑内障」というのもあります。多くの場合、症状が進行するまで自覚症状がほとんどなく、検査によって初めて緑内障と診断されるケースが多く、一度失ってしまった視野は薬や手術によって回復することはありません。
そのため、目が疲れやすい、目がかすむなどの症状があれば放置せず、早期発見と適切な治療によって、病気の進行をできるだけ抑えることがとても重要です。
加齢によって網膜の中心にある黄斑に異常が生じる病気です。
初期は、物の中心部が暗く見えたり、ゆがんで見えたりします。病気の進行に伴って見えにくい範囲が徐々に広がり、視野も低下します。視力低下が重症となった場合、回復が難しくなります。眼科で定期検査を受け、早期発見に努めましょう。
糖尿病の合併症で、目の毛細血管が障害されて起こる病気です。
日本人の成人の失明原因のトップ 3にあげられる疾患ですが、自覚症状が全くないまま病気が進行してしまうことも多く、注意が必要です。
「目が疲れる」「目がなんとなく重い」という症状があれば、糖尿病網膜症が潜んでいる可能性があります。糖尿病と診断されたら、内科と共に眼科での定期検査を欠かさず受けるようにしましょう。
鍼灸治療では、加齢による眼精疲労には腎を補う治療をしていきます。
腎とは生まれながらに持っているエネルギーが蓄えられている場所とされています。
体の成長や発育などの大切な役割があり、30代でピークを迎え、そのあとは徐々に衰え始めます。
40~50代になり老化を本格的に実感するようになったころには、腎が不足し始めています。
腎を補う施術をすることで、その老化のスピードを緩やかにすることが目的です。
ただ加齢による眼精疲労には病気が隠れている可能性もあります。
目の疲れが取れない方は、一度眼科に受診するようにしましょう。
ついついやってしまいがちな、寝転がりながらのスマホ操作や読書ですが、実は視力を悪くし、眼精疲労にもつながります。
寝転がることで、左右で見ている物に対しての距離が変わってしまい、視力に左右差が起こります。これが継続されると乱視を引き起こす原因にもなるので、日ごろからしないように気をつけましょう。
日々無意識に行っている呼吸ですが、人は運動不足や、ストレスなど続くと無意識に浅くて速い呼吸をするようになります。
呼吸が浅いと新しい酸素が取り込まれにくくなり、血液循環が悪くなります。
すると目の周りにある毛様体の筋力の低下や、水晶体の弾力までも失われてしまいます。
これらを放置しておくと近視や老眼の進行を促進させるといわれています。
呼吸が浅いと感じる方は1日1回でもいいので、深呼吸する時間を作ってみてください。
糖尿病の合併症でおこる糖尿病網膜症について説明しましたが、糖尿病だけでなく食生活の乱れでも、眼精疲労や急激な視力の低下を引きおこす危険があります。
その理由として、食生活の乱れや偏食などにより、目に必要不可欠なビタミンAやビタミンB12が不足し、とり目(夜になると目が見えなくなる)になったり、神経伝達がうまくいかなくなってしまうからです。
ビタミンAは目や皮膚の粘膜を健康に保ち、抵抗力を強める役割があり暗いところでの視力を保つ働きがあります。
ビタミンAを多く含む食材は、ニンジンやレバー、卵黄などがあります。
ビタミンB12は、補酵素(酵素をサポートする成分)として、アミノ酸代謝、核酸代謝、葉酸の代謝に関わっています。さらに正常な赤血球の産生、脳神経および血液細胞など、多数の体内組織の機能や発達を正常に維持するために必要な栄養素です。
植物性食品にはほとんど含まれておらず、ビーガンなどの厳格な菜食主義者の場合不足することがあります。
ビタミンB12を多く含む食材は、しじみ、レバー、アサリなどです。
特にとり目に関しては栄養状態がよくない発展途上国において深刻な問題になっています。
ストレスや睡眠不足も、眼精疲労の原因になります。
ピントを合わせる働きをもつ「毛様体筋」は、自律神経の1つである「副交感神経」からの指令によって動いているといわれています。
ストレスや睡眠不足がかさなると、緊張時にはたらく「交感神経」とリラックスモードの際にはたらく「副交感神経」の、2つの自律神経のバランスが崩れることになります。
自律神経のバランスが崩れると、目の筋肉は通常以上に緊張状態になります。
筋肉が緊張すると、目の血流が悪化し、疲れ目を引き起こします。
さらに、自律神経が乱れると、頭痛や肩コリなどの症状にもつながるので要注意です。
いかがでしょうか?
『眼精疲労』ときくと、原因として目の使いすぎだと思う方はたくさんいらっしゃいますが、案外生活習慣から来ていると知ってる方は少ないです。
上で紹介した生活習慣をされてる方は気をつけるようにしましょう。
施術の際も普段の生活での様子などもお聞きし、必要であれば目に良い生活のアドバイスもさせていただきます。
目のまわりにあるツボを刺激することで血流が改善され、眼精疲労を軽減できます。
人差し指のはらを使って心地よく感じる強さで圧をかけすぎないように注意して押しましょう。
お顔以外での眼精疲労にオススメのツボも紹介します。
眼球体操とは、眼球自体を動かして、目の周りの筋肉をほぐし血流をよくする体操のことです。
パソコンやスマホなどで近距離を見続け眼球をあまり動かさない生活が続くと、首のうしろや肩まわりも緊張状態になります。
眼球体操を行うことで、目の疲れだけでなく肩こり・首コリのケアにもつながります。
また、この眼球体操をすると目元の血流が良くなりまぶたが軽くなるので、目がパッチリと開いて顔の印象も明るくなります。
この眼球体操はやりすぎてしまうと気持ち悪くなってしまうことがあるので、ほどほどにしてくださいね。
蒸しタオルを使ってまぶた全体を温めることで眼精疲労を緩和させることができます。
また、蒸しタオルの上から先ほど紹介したツボを押すとさらに効果的です。
蒸しタオルの作り方はとても簡単です。
ただし、目が充血しているときは炎症をとるために、温めるより冷やした方が効果的です。この場合は、冷やしタオルや市販の冷却タオルを使用しましょう。