肩から腕にかけての疾患
頸肩腕症候群、寝違い、肩鎖関節損傷、肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)、手のしびれ、インピンジメント症候群、腱板損傷、胸郭出口症候群など
肩の疾患について、1つ1つ詳しく説明していきますが、初めて聞く疾患から馴染みのある疾患まであると思います。肩関節の骨の構造、筋肉や働き、運動やストレッチのやり方なども紹介していきます。今回はほとんどの人が感じた事がある、馴染みのある肩こりについて話していきたいと思います。
肩こりと聞くと馴染みがありますが、レントゲンや検査などで特に原因となる病気がなく、首から肩、腕にかけて痛みやコリが起こる病気の事❝頸肩腕症候群❞といいます。一般的に病気が判明した場合は、その病名で呼ばれます。
【①仕事や日常生活によるもの】
デスクワークなどで長時間同じ姿勢をとっている人、下を向いて作業を行う人、眼を酷使する人、冷える場所に長い時間いる人、日常生活においてスマートフォンをよく使う人など
【②体型的要因】
なで肩の人、肩や首が細く長い人
運動不足で筋力低下している人なども頭を支える筋肉が弱いため肩がこりやすいと考えられています。
【③精神的な要因】
最近では、ストレスや精神的な緊張によるものも増えています。
【④病気に伴って起こる場合】
頚椎症、頚椎椎間板ヘルニア、胸郭出口症候群、高血圧、心臓病、更年期障害など
首から肩または肩甲骨にかけてツッパリやこった感覚、疲れやすさを感じます。だんだん進んでいくと、痛み、うずき、シビレがでたり手・腕・背中など広い範囲に及ぶケースもあります。
また、頭痛や吐き気、耳鳴りなどを伴ったりと人によって症状は様々です。
それは僧帽筋です!!
肩こりに関係する主な筋肉は、僧帽筋・菱形筋・肩甲下筋・などありますが、
僧帽筋は、上肢の中で大きな筋肉の一つで、首のつけ根(後頭部)から肩、背中にかけてついています。また上部・中部・下部の3つの部分にわけられ、それぞれの部位で異なる働きを持っています。
上部は、肩をすくめる動き(挙上)や首を下に向ける動作で使います。
中部は、肩甲骨を後ろに下げるときに使われる部位(内転作用)で、背伸びや深呼吸をするときに胸を張る動作でも使われます。この際、前鋸筋との連繋がとても大切になります。
下部は、肩甲骨を下に回す(下制)ときに使われる筋肉で、物を引っ張る動作で使われます。
僧帽筋が緊張したり、疲れたりすると疲労がたまり、血行不良をおこし、コリ、張り、痛みとして現れてしまいます。
ストレッチや体操で筋肉を伸び縮みさせたり、筋力アップで血行不良を改善しましょう🎶
肩甲下筋についての詳細は2021年4月14日の肩甲骨はがし
筋力低下による体操については自宅でできるフレイル予防運動2020年04月24日体操も参照下さい。
肩こりから他の疾患、肩関節周囲炎(いわゆる五十肩など)へ移行するケースもあります。また、現在は子供でもスマートフォンをもっており、これらの症状の低年齢化が増えています。放っておかず、早めの対処をオススメします。
検査ではわからず原因不明の場合も頚肩腕症候群と言われるため、自律神経の関与も考えられます。血行改善や自律神経を調節するに鍼灸治療は有効的です。
上記の体操など行っても改善しない場合は、一度ご相談下さい。
朝起きたら首が痛くて動かせない(寝違え)た経験はありませんか?
朝起きて急に、頚や背中上部に痛みが走り、
首のまわりの筋・腱・筋膜に炎症が起き頚肩部が動かせなくなる状態のことです。
【原因】
◎睡眠中に首肩部が冷えてしまった
◎深酒や過度の疲れから寝返りを打つ回数が少ない
◎枕などの寝具が合っていない
◎疲れやストレス
などがあげられます。
【寝違えが起こりやすい人】
●首に負担がかかる姿勢や同じ姿勢が長時間続いてる
●普段から首や肩まわりの血行が悪く、手や腕を酷使している人
●内臓の疲れ(胃もたれ・食欲がない)
【処置】
寝違えた直後は患部に炎症が起こっているため、ひどく痛む場合は一時的に冷やし安静に過ごしましょう。長期的に冷やす事はお勧めしません。
痛む部位には触れず痛みにより、負担がかかっている筋肉を緩める方がよいでしょう。
直接、痛みのある患部にも刺激ができ、患部から離れた場所からアプローチし、痛みや炎症を抑え筋肉を早期回復にもっていくことができます。
○肩中兪 (けんちゅうゆ)
首を軽く下に向けた時に一番出っ張る背骨(第7頸椎)から指3本分外側
眼精疲労の方にもお勧めなツボです。
○後谿(こうけい)
手を握ると小指の外にくぼみができる所
熱処理作用もあり、風邪引き始めにも効きます。
○崑崙(こんろん)
足首近くで、外くるぶしの後ろ、アキレス腱との間のくぼみの中央
腰痛や足関節痛みにもお勧めです。
○落沈 (らくちん)
手の甲の人差し指と中指の骨の交わる所 にあります。 ツボを押しながら、首をゆっくり回ことで寝違えの症状を軽減します。
○臑兪(じゅゆ)
肩甲骨後面と肩の際にあります。
偏頭痛、肩凝りの方にもお勧めです。
欠盆(けつぼん)
鎖骨の中央
関元(かんげん)
元気な気が集まる場所として有名です。おへそから指4本下
痛めた筋肉を修復するには安静が一番ですが、どうしても仕事や家事を休めない場合、痛みが辛い場合応急処置として、首のコルセットのように首にタオルを巻いて頭を支え、首の負担を軽減させる方法もあります。また、テーピングで痛めた筋肉を補強サポートするのもいいでしょう。
痛みが和らぎ安定期に入ったら、血流を良くして回復を促しましょう。血流改善には、温める・ストレッチをする・マッサージをするなどいろいろな方法があります。内臓の疲れからくる凝りがきになる方は2019年11月22日ブログも参照下さい。
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このような症状で悩んでいませんか?
手や指がむくむ
腕 手 肩 背中などが痺れる
腕や肩にだるさを感じる
腕や手に冷たさを感じる時がある
パソコン作業やデスクワークで肩が重くなる
買い物袋など重い荷物を持つと腕や肩が痛くなる
つり革ドライヤーなど顔より上に手を上げると肩や腕が辛くなる
胸郭出口症候群とは上腕や肩への負担のかかる運動で神経や血管が障害を受けることにより肩腕手の部分にしびれや痛み、冷感 、時には動かしにくさの症状が現れる状態のことを言います。
また これらの症状を肩こりとして感じる人もいます。
胸郭出口症候群は なで肩の女性に多く見られますが 、筋肉を鍛えている男性でも発症することがあります。
◎斜角筋症候群
前斜角筋と 中斜角筋の間の神経が圧迫される病気です 。原因には 頚 肋と呼ばれる 肋骨様の骨が 元々前斜角筋と中斜角筋の隙間は狭いのですが 、体の疲れや 姿勢 血行不良によって筋肉が硬くなり、血管や神経を圧迫することもあります 。
手の薬指小指に知覚異常や痛みが発症し握力も弱くなります 。
20代30代のなで肩の女性に多い病気で長く肩を下げていると症状が悪化します。
◎肋鎖症候群
鎖骨と第一肋骨の間で 神経や血管が圧迫された時に起こる症候群で 肩こり肩甲骨周辺の痛みだるさ指先に軽い知覚障害とチアノーゼを起こします。 こちらも疲労、姿勢などの変化で肩が下がると発症しやすく腕を上げて寝ると楽になりやすいです。
◎過外転症候群
胸の前面にある小胸筋の下や第一肋骨と鎖骨の間で神経や血管が圧迫されて起こり指先に知覚障害血行障害が起こります 。つり革を持つように腕を上げるかっこ後ろに強く引く と圧迫が強まります。
窓を拭く作業などのように腕を頭より上げた状態をしばらく続けた時に発症しやすくと言われます 。
鎖骨周辺はたくさんの筋肉や骨で構成されており、どこで神経や血管が圧迫されるかを見極める必要があります。
首の長いかたや20代30代の方に多く起こりやすいといわれています。日常のデスクワークスマホ前かがみで猫背になる肩腕をよく使ってお仕事をされてる方にも多く見られます。
胸郭出口症候群は5つのテストを行うことで四つのタイプに分けることができます 。
エデンテスト
痺れや痛みを感じる方の腕を後下方に引っ張る 手首の親指にある橈骨動脈の拍動が触れなくなる 。
これは肋鎖症候群が陽性と判断されます
アドソンテスト
顔を上に向かせ 痛みがあるほうの後ろを見るように首をひねり 深呼吸を行わせる。
これにより痛みのある腕の手首の橈骨動脈の拍動が触れなくなる。これは斜角筋症候群が陽性です 。
ライトテスト
肘の関節を90°曲げて保持する姿勢をとってもらう しびれの誘発橈骨動脈の拍動が触れなくなる 。肋鎖症候群 、小胸筋症候群が陽性です。
3分間挙上負荷テスト
肘の関節を90°曲げて保持する姿勢をとってもらう ライトテストと同じです
手のグーとパーを交互に3分間繰り返す 。それによりしびれの誘発 橈骨動脈の拍動が触れなくなる 。
これは肋鎖症候群、小胸筋症候群が陽性です 。
モーレイテスト
鎖骨の上部周辺にあるくぼみを形成している斜角筋を指で圧迫する。肩から腕腕から手への放散痛を訴える。斜角筋症候群が陽性です。
最後に
睡眠時の姿勢を変えることや 日常生活における動きを正しく意識することが痛みなどの症状の軽減につながります。 肩こりや 疲れと思い症状が長期化して増悪した 場合もありますので 早めの治療をお勧めいたします。
今回は、肩関節の骨の構造についてと肩鎖関節損傷について少し話たいと思います。
肩関節は、主に腕の骨(上腕骨)、肩甲骨(けんこうこつ)、鎖骨(さこつ)から構成されています。上腕骨の先にある丸い球状の部分(球関節)が、肩甲骨のくぼみ(関節窩)にはまる構造になっています。ここが、一般的に肩関節と呼ばれる場所です。肩関節は他の関節と比べて接触面が浅く不安定です。例えば股関節は肩関節と同じ球状ですが、股関節のくぼみ(関節窩)である寛骨臼は大腿骨頭を深く包み込む臼状になっているため、股関節は荷重に耐える安定性をもっています。その点肩関節は不安定差はありますが、肩を色んな方向に大きく動かす事に適していて、肩周辺の筋肉により安定性を保持しています。
次に、肩の構造でも出てきた鎖骨と肩甲骨に付いている肩鎖関節損傷についてです。
ここでは、靭帯の損傷のみで、関節のズレ(脱臼や亜脱臼)ではない、軽度の捻挫、損傷について話しをします。
関節のズレ(脱臼や亜脱臼)がある場合は、腫れ+鎖骨が浮いてくるので病院での検査をおすすめします。
まず、場所を自分で触って確認しましょう。鎖骨(さこつ)は自分で触れる事ができます。
身体の中心(顔)に近い方は前方へ、遠い方は後方へ突出していて、S字の形をしています。その後方部分に少し飛び出ている突起(肩峰)がありその小さなすき間、くぼみが肩鎖関節です!
転倒や衝突で、肩や肘を打つ、手をつくなど肩の外側の衝撃により靭帯の損傷を起こし発生します。
柔道、ラグビーなど激しいスポーツ、バイクや自転車での事故、また、筋力トレーニングでのバーベルなど重い負荷により負担がかかり発生する事もあります。
肩関節の骨の構造、肩関節の靭帯ともに
コメディカルのための筋・骨格・関節・靭帯
飯島治之・美樹著 技術評論社より引用
肩鎖関節は、上図でもわかるように肩鎖靭帯と烏口鎖骨靭帯で繋がっています。また、肩甲骨(肩峰)の付着部である筋肉、三角筋や僧帽筋らで補強され、より安定性が高まるような構造になっています。
◎テーピングを使って痛めた側を固定、補助する。①肩鎖関節部分を少し圧迫しながら重ねながら貼る②三角筋の停止部から鎖骨に向かって貼る。
◎痛めた側で重い荷物もたない。
◎軽度の損傷の場合は早期から動かす事が必要です。放っておくと肩関節周囲の筋肉、靭帯の動きが悪くなります。ゴムチューブなどを使って筋力低下を防ぎましょう!!
肩鎖関節自体の動きは小さいですが、肩を動かす時は、肩甲骨が動いて、その支点の1つが肩鎖関節になり、肩の位置を保ち、肩関節と体幹を繋げているとても重要な関節の1つです。痛みや突っ張り感があると肩甲骨を使わずに腰(体幹部)を使って動かす癖がついたり、肩の動きがますます悪く、悪循環に陥ります!!
鍼灸治療でのアプローチがとても有効です!マッサージでは届きにくい深層部の筋肉や触りにくい靭帯部分に直接アプローチができます!!また、肩鎖関節脱臼し、整復したのに中々痛みが取れない方、寒い季節や冷房で冷えると痛みが再発する方など、お困りでしたら是非一度ご相談下さい♪♪
40歳~60歳代に多く50歳代が発症のピークとなっているため通称五十肩とも呼ばれています。五十肩の明らかな原因は分かっていませんが、肩関節周囲の筋肉、腱などの炎症や老化(衰え)で起こるといわれています。
急性期→慢性期→回復期へと移行していきます。
【急性期】
肩関節の筋肉のバランスが崩れ、関節の周りに炎症が起こります、この炎症が神経を刺激し痛みを起こします。この時期は安静時や夜間でも肩に痛みが現れます。この時期は肩に負担がかかる事はやめて安静が必要です。
夜間痛の原因
仰向けで寝ていると、縮んだ筋肉が引き伸ばされたり肩の位置が押し下げられ関節に負担がかかります。
対策
①クッションやタオルで角度を調整する。
②肩が冷えないように掛け布団以外に肩用にバスタオル(重たすぎない物)を肩にかける。
③枕が高い場合も注意が必要です。
枕が高いと首肩部が緊張してしまい肩周返に負担がかかってしまいます。
④痛くない側を上にして横向き寝る。肩・肘が後ろに下がってしまうと負担がかかるため抱き枕などでサポートする。
肘と肩が平行になると肩の負担が減り安定が保てます。
【拘縮期】
肩関節を包む関節包が炎症を起こすと、縮んだり、癒着したりして硬くなって動きが制限されてしまいます。
思うように動かず腕を上げたり、頭を洗う、結帯動作(肘を曲げ手を後ろにまわす動作)ができない等。
【回復期】
痛みがやわらぎ、動かせる範囲も広くなる ・動かしても痛みが出なくなる。
また、拘縮期・回復期の時期に動かさないでいると、筋肉の・癒着が進んでしまいます。痛みに気をつけながらゆっくり動かす事が大切です。
痛みに関して
痛みに対する不安から日常的な行動を回避したり、代償したり、過剰に意識し気にしてしまうと、常に肩が緊張し、負担がかかってしまいます。一呼吸おいて、肩の力を抜く意識をしましょう。
原因追求による治療
①問診や肩の動く範囲から推測し、痛みの原因となる部分を把握します。
②縮んで硬くなったり、使いすぎて負担がかかった筋肉や腱を緩める。
③関節の可動域を広げ、正しい動きにもっていく。代償する動きではなく、肩甲骨を使って動かす。
これがとても大切です!!
左側の写真は腰を使って上げています。右側の写真は腰はまっすぐで肩甲骨から上げています。
ウェルネスの鍼灸治療では、痛みの原因となる深層部分(インナーマッスル)に鍼でアプローチしたり、遠隔治療といって肩に関係する離れた場所(ツボ)に刺激、正しいフォームでの動きを覚えてもらいます。その結果、身体の動きがスムーズになり、痛みや不快感も改善されていきます。
最後に筋力トレーニングなどで筋肉を鍛え(体を整えていきます)
自然と関節の可動域も広がっていきます。
手のしびれの種類として5つに分類されます。
①頚椎(脊髄)による場合
頚椎症性神経根症、頚椎椎間板ヘルニア症など
首 (頚椎) の神経を圧迫することによって生じるしびれは慢性的なしびれで最も多いです。 加齢などの影響によって、神経の通っている管が細くなったり、骨の変形などで圧迫され起こります。
頚椎ヘルニアは、椎間板の一部が飛びだし圧迫されて起こります。
②末梢神経の場合
これは、日常でよく遭遇するしびれです。
◎胸郭出口症候群
腕や手指に繋がる末梢神経の束や血管(動脈や静脈)が、鎖骨と肋骨の間で圧迫され、血流が悪くなることで、しびれが起こります。また筋肉の緊張、冷えによる血行不良等により、起こります。
日常生活での一時的な手のしびれの原因の一つです。
例えば、長時間のディスクワークなど体に負担のかかる姿勢でいたり、起床時、変な寝かたをして朝起きたら手がシビレていたり、片手で洗濯物を干す動作でいると手がしびれたり、だるくなったりという経験はありませんか?
動き始めるといつの間にかシビレがなくなっている場合はこれにあたります。
(詳しくは上記の胸郭出口症候群も参照下さい。)
◎手根管症候群
手首を頻繁に使うことで、この手根管の部分で正中神経が圧迫されてしまい、手のしびれや痛み、運動障害が引き起こされます。
③自律神経失調症の場合
病院で検査しても異常がないのに手のシビレを訴える。
ストレスや過労の蓄積は筋肉の硬直や血行不良を引き起こし、結果しびれの症状を訴えるケースがあります。
自律神経は、絶えず交感神経と副交感系のバランスを取ろうとしています。このバランスが崩れることで不調が起こります。
④脳の場合
口のまわりから手にかけてのシビレがある場合は、脳が原因の可能性があります。
⑤内科的疾患の場合
糖尿病は、神経に栄養を送っている栄養血管に血液が行かなくなり、神経障害が出てきます。 その結果、指先や足がチクチク・ジンジンするようなしびれを訴える場合があります。
ビタミン欠乏
偏食をする人や、お酒しか飲まないような慢性アルコール過飲者などにビタミン欠乏による神経障害があらわれます。
しびれには、鍼灸治療も有効です。
痛みやしびれが出ている局所にアプローチ
①や②の場合は、椎間関節周囲に鍼をして神経の炎症を抑えたり、早く回復するよう働きかけます。また疲労や負担がかかった周りの筋肉にも鍼や灸を行うことで筋肉の張りや血流改善を促すことができます。
人によって生活習慣や身体の体質・症状が異なります。現在の身体の状態をカウンセリングでしっかり伺い、個々に合った刺激量や鍼灸治療を行っていきます。慢性的な症状は1.2回の治療で痛みやしびれが軽減してもすぐに戻ってしまいます。それは、自然治癒力が衰えていたり、生活習慣の乱れなどが要因の1つです。持続効果を保つためには、本来身体に備わっている自然治癒力を高め、生活習慣を見直し、定期的に来院される事をお勧めします。
シビレの改善が見られず、症状が長引く場合は一度、かかりつけの病院に相談しましょう。
当院では、日常生活の正しい姿勢、個々にあったストレッチや運動療法もご指導します。病院の治療と併用することで症状が楽になる方もいるので、ぜひ一度ご相談ください。
棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋
肩を支えているこの4つの筋肉をあわせて回旋筋腱板(ローテーターカフ)と呼びます。この筋肉はインナーマッスル、深層部に位置し、肩の安定・維持に大切な筋肉です。
インナーマッスルとは身体の深いところに位置する筋肉で骨や関節を支え、持久性があり、比較的小さい深層部の筋肉です。
肩は特に小さな筋肉で支えられています。また可動域(動く範囲)も広く安定性の維持にとても大切です。
アウターマッスルは、身体の表面に位置する筋肉で比較的大きな筋肉なので瞬間的に大きな力を出す時によく働く、表層部(三角筋・僧帽筋など)の筋肉をいいます。
インナーマッスルとアウターマッスルがお互いに作用して正しフォームで動かすことがとても大切です。肩ローテータカフの筋肉を痛めてしまうと、表層部のアウターマッスルが強く働きインナーマッスルが衰えてしまいます。
痛みがない人でもローテータカフの筋肉を鍛えて、肩回りを安定させることでケガの防止にもつながります。
棘上筋(きょくじょうきん) 肩甲骨の上にある筋肉 肩を上げ(挙上)する働き アウターは三角筋で棘上筋とともに外転に働く
棘下筋(きょっかきん) 肩甲骨の下にある筋肉 腕を後ろに回す働き
肩を軸に肘90度で外に開いていく(外旋動作)アウターは三角筋
肩甲下筋(けんこうかきん) 肩甲骨の前にある筋肉 肩を前に回す働き
肩を軸に肘関節90度にし内側お腹側によせる アウターは大胸筋
小円筋(しょうえんきん) 外旋と伸展(体よりも後ろに下げる動き)
主に肩関節を外旋させる動き(腕を横に開く動作)と伸展させる動作(体よりも後ろに下げる動作)
足を肩幅に開き体側の足底で支え腕を横にゆっくりスライドさせます。脇下の角度は15度から最大30度までがインナーマッスルの棘上筋が働きます。30度以上になると三角筋などアウターマッスルにも効いてきます。
肩を軸に肘90度で外に開いていく(赤線矢印方向へ)
今回同側で行っていますが理想は体側(右側にゴムチューブを固定し)肩を軸に肘90度で内(お腹側)にゆっくり近づけます(緑線矢印方向へ)
脇下が開いてしまうと、アウターマッスルここでは三角筋の筋肉も働いてしまうため、インナーマッスルを意識するのであれば、慣れるまで脇が開かないようにタオルを挟んで行うのも良いでしょう。
小円筋 肘の角度が90度、手首曲がらないように意識識をし矢印方向へ
ここでは、肩を痛めたり、安定性を保つため、インナーマッスルの運動を紹介しています。
アウターマッスルが先に動いてしまうと肩が不安定(ぐらぐら)になります、しっかりインナーマッスル(ローテータカフ)の筋肉を意識しましょう♪♪
手首が曲がっている。ゴムチューブがたわんでいないか?ゆっくり行えてるか?なども意識して行ってください!!
インピンジメント(impingement)とは衝突する、突き当たるという意味です。
腕を下ろした状態(0度)では痛みがなく、主に腕を「約60度~120度」の角度に上げた時、または、上から下へおろしてきた時に強い痛みや引っかかりが起こる状態をいいます。
小結節と烏口突起の間で起こることもありますが、1番多い場所は、下の図のように上腕骨の大結節と肩峰の間です。手を外に上げていく(外転)時に衝突が起こります。
肩のこすれ や挟み込みなど、肩関節は骨と骨とのすき間が狭く、こすれが起きやすい構造になっています。本来、腕を上げる時には、まわりの筋肉がうまく連携し、こすれずに動くことができます。
それが老化(衰え)や疲労などの影響でうまく連携がとれずに衝突したり、肩をよく使う動作(水泳・野球バレーのアタック、テニスのサーブなど)スポーツにより強い衝撃をうけると、炎症や出血を引き起こします。
炎症が起きた場合は、無理に動かさずしばらく安静にすると症状は軽減します。
※炎症がきつい場合は、肩関節周囲炎の急性期を参照下さい。
また、筋肉の老化(衰え)は肩関節周囲炎で話したローテータカフのゴムチューブ運動をお勧めします。
その他にも、肩峰(けんぽう)がもともと下方に突出していたり、肩峰下に骨棘(骨のとトゲ)ができた場合も衝突しやすくなります。
腱板断裂や石灰沈着などはレントゲンなど検査で診断がつきますが、肩関節周囲炎やインピンジメントのように見分けが付きにくい場合もあります。
人に手を持って補助してもらったり、自分自身で痛い側の手を補助しながらあげて行くと軽度な痛みはあるものの、肩が上まであがります。
また、腕を上げきると(150~180度)痛みが軽減したり、消えていくのも特徴です。
肩の動きそのものが制限されるため、自分の力で動かしづらいだけでなく、人が介助して動かしても痛みがきつく、うまく動きません。回復期では可動域が広くなり見分けがつきにくいですが、引っかかりがあるかないかなどで見極めていきます。
胸筋が硬いと、肩甲骨の動きも悪くなるため、肩の上下げの動きにも影響し、インピンジメントが起こりやすい状態になります。
胸筋ストレッチ
①手を壁につけて、身体は真正面へ。
②手は壁につけたまま身体を捻る。
痛みに気をつけながら無理なく行ってください。
普段からストレッチや軽い運動、正しいフォームを意識し予防しましょう♪♪