こんにちは。アロマセラピストの吉川です。

お彼岸を過ぎて一気に秋の気配がしてきました。「暑さ寒さも彼岸まで」と言われますが、日本の四季は最近の異常気象にあっても暦通りに季節が進んでいくのだと感じ入っています。

過ごしやすい季節になりました。緊急事態宣言の解除もあり、久しぶりにどこかへ出かけようかと計画されている方も多いのではないでしょうか? 人ごみや都会を離れて山や海への遠出などは、自粛生活を余儀なくされていた方には良い気分転換になりそうですね。

是非、自然の中に行かれた時はゆっくりと深呼吸をしてみてください。 マスク生活で緊張していた身体がリラックスしていくのを実感できるかと思います。

今日はこの「深呼吸」の心身への健康効果についてお話したいと思います。

 

【深呼吸とは】

深呼吸とは、「大きく息を吸いこんだり、吐きだしたりすること。肺の伸縮を大きくして、できるだけ多くの空気を出入りさせる呼吸法」と、ものの本には書かれています。 緊張した場面や焦っている時など「一度、深呼吸をしてみて」と言われることがあります。これは緊張や焦りから呼吸が浅くなっている様子から、「落ち着いて」という周囲のアドバイスです。 深呼吸をすることで気持ちが落ち着いていくことを多くの人が経験から知っていることなんですね。

 

【深呼吸と心身の関係】

では、深呼吸は体と心にどのような関係性があるのでしょうか? 体の仕組みとして、人は空気を吸うことで肺に酸素を入れて、吐くことで肺から不要になった二酸化炭素を外に出しています。酸素は身体を動かすエネルギーを作るために必要な要素のひとつです。

酸素は肺で体内に取り込まれ、細胞で消費されて、そして二酸化炭素に変化して体外に排出されています。 呼吸が浅くなると、取り込まれる酸素が減り、二酸化炭素の排出も少なくなります。肺のスペースは限られていますので、吐き出す二酸化炭素の量が減ると必然的に新しい酸素を取り込めるスペースが小さくなります。体内へ新鮮な酸素を取り込みにくくなり、体全体にも影響が及びます。呼吸が浅いと息苦しく感じたり、疲れやすく感じることがありますが体全体のエネルギーの低下も考えられます。

呼吸は普段、意識しないでも自然と誰でも普通に行っています。 しかし、環境によって呼吸が浅くなってしまうことが多くあります。 コロナ禍でのマスクの着用は、それだけでも息苦しく感じる方も多くいます。また同じ姿勢でのデスクワークなどでは、知らず知らずに前かがみになり、胸が狭くなっていきます。 マスクの着用だけでもうっとおしいのに、感染の恐怖や感染対策への気遣いなど、ずっと神経を使って疲れた、と言われるお客様もおられます。そのような方は眠りも浅くなったと感じておられる方が多く、言われれば「呼吸は浅いかも」とお話しくださいます。 呼吸が浅くなることで、心身の緊張が緩まず、睡眠の質も低下して、疲労がなかなか回復しないことがわかります。

では、深呼吸をすることでどんな変化があるのでしょうか。

深呼吸は鼻からお腹を膨らませるように吸いこみ、口から吐く、「腹式呼吸」が基本です。 ゆっくりとしたリズムが望ましく、吸う、吐くの一回を40秒以上で行うことが理想と言われています。 なかなかそれほど長くは難しいですが、ヨガや気功、禅などをイメージしてみてください。 ゆっくりと呼吸をすることでゆったりとした気持ちになることが想像できます。深い呼吸をすることで、自律神経の中の体を休息させる副交感神経が優位になり、体の緊張を緩めて、リラクセーション効果と集中力を高めると言われています。

「腹式呼吸」はお腹の横隔膜を動かし血流をよくします。横隔膜を動かすことで、お腹から心臓へ、心臓から肺へ、そして全身へと血が巡り、深呼吸を繰り返すことで体全体の血流をよくしていきます。

近年の臨床では、体全体の血流が良くなることで女性に多い下肢抹消血流の改善につながるとの報告もあります。 また、体の緊張の緩和と血流がよくなることで、即効性はありませんが継続することでコリや痛みの改善にも期待ができます。

 

【深呼吸の健康効果】

・自律神経のバランスを整える

・全身の血流をよくする

・緊張の緩和

・睡眠の質の改善

・集中力アップ

 

「呼吸」は普段私たちが意識しなくても自律神経がコントロールをしてくれています。人は自分の心臓を思い通りに動かすことはできません。他の臓器の動きも私たちの思い通りにできませんが、実は唯一私たちがコントロールができるのが「呼吸」です。 健康維持のひとつとして、「深呼吸」を是非生活に取り入れてみてください。

 

運動

【おすすめのタイミング】

ゆっくりとしたリズムで行うためタイミングとしては、落ち着いてできる時間と場所を選んでください。

 

・朝目覚めた時

・作業や仕事が一段落した時

・呼吸が浅いと自覚した時

・夜眠る前

 

朝や夜はお布団の中で横になったままで上を向いて、全身の力を抜いたイメージでするのがおすすめです。 日中は周囲の安全などを確認して、椅子に座ったり、まっすぐ立った体勢で行ってください。

 

【深呼吸のやり方】

初めはゆっくりとできる範囲で少しずつ慣れていきましょう。吐く時はゆっくりと時間をかけ、吐ききることがポイントです。

 

横になってする場合

・仰向けになり、胸とお腹に手をおき、膝を立てる

・まず、息を吐きお腹をへこませる

・胸においた手が動かないことを確認しながら、鼻から吸う

・息を吸いながら、お腹が膨らむことを確認する

・5秒くらいで吸い、ゆっくりと口から吐いていく

・吸うよりも吐くことを意識する

 

座ったり、立ったままする場合

・背筋をのばして、肩の力を抜く

・まず、息を吐きお腹をへこませる

・腰に手をおき、お腹が膨らむことを確認しながら鼻から吸う

・5秒くらいで吸い、ゆっくり口から吐いていく

・吸うよりも吐くことを意識する

 

【腹式呼吸と胸式呼吸】

「呼吸」には深呼吸である「腹式呼吸」と胸郭を開いて呼吸する「胸式呼吸」があります。 普段意識しないでいる呼吸は「腹式呼吸」と「胸式呼吸」を併用しています。 安静時は腹式呼吸が7割ほどと言われています。 腹式呼吸は腹横筋を動かして、胸式呼吸は外肋間筋という胸郭を動かす筋肉を使います。 呼吸は筋肉を動かしている、と言われると「鍛える」ことで強化できるのでは?と思われるのではないでしょうか。

「腹式呼吸」「胸式呼吸」の両方を意識的に取り入れることで、より心身の健康効果が期待できます。 「胸式呼吸」のタイミングややり方は「腹式呼吸」同様です。 まずは「腹式呼吸」である深呼吸から始められることをおすすめします。 慣れてこられたら、「腹式呼吸」「胸式呼吸」を組み合わせてみてください。

 

【施術時に体験も】

アロマトリートメントやリラクセーションマッサージの施術では、スタート時にタオルワークで全身の様子をみさせていただいています。 アロマの香りや施術ベッドの感触でリラックスされている方も多いですが、体の緊張が抜けない方には深呼吸の「呼吸誘導」をまずさせていただきます。 深呼吸することで体が緩んでいく感覚を実感していただけます。 ご希望の方はお申し付けください。

 

【最後に】

「呼吸」は私たちが普段自然としているものですが、生きていくためには必要で重要な生命活動です。 そして唯一コントロールできるものです。 「深呼吸」は器具を使わず、薬品の助けも必要ない、生活の中で誰でもできる健康法です。

やってみようと思われた時がスタートです。 是非、お試しくださいませ。