こんにちは。アロマセラピストの吉川です。
コロナ禍の状況が続いています。緊急事態宣言に伴う生活の変化や感染への気遣いなど、一年以上の気の抜けない日常で心身の疲労を感じている方が大方だと思います。
そして、コロナをきっかけに改めて健康に気を付けられておられる方が多いのではないでしょうか?お客様の中にもお家時間が増えたので、今までしていなかったストレッチや筋トレ、ヨガなどを始められたというお話をよく伺います。日常の生活の中で健康を維持することはとても大切なことですね。
さて、今日は「睡眠」についてのお話です。「睡眠」が健康に関わっていることはよく知られています。しっかり眠れているか、いないかで疲れの回復が違ってきます。
アロマトリートメントやリラクセーションの施術前、その時のお体の状態などをお聴きしていますが、その際必ず「睡眠はとれていますか?」とお聴きします。
体の不調を感じておられる方は「寝ているけど、(睡眠が)足りていないかも。」とおっしゃる方が多いです。多くの方が「睡眠」を意識されているのだと感じています。
そんな方には「是非、今日はうとうとなさってくださいね。」とお伝えしています。この「うとうと」は睡眠不足の方には効果があります。「うとうと」は「半覚醒状態」になっている時に起こり、「半覚醒の状態」が20分から30分あると3、4時間の質のいい睡眠をとったくらいの回復力があると言われています。
時々、施術中の気持ちいい感覚を感じていたいので「もったいないから寝ないように頑張っている」とおっしゃる方がいますが、眠らない方が「もったいない!」です。「うとうと」中は気持ちいいという感覚もちゃんと感じて頂けるんですよ。
では、その「うとうと」がどうして効果があるのか。「半覚醒」でなぜ質のいい睡眠と同じくらいの回復力があるのか。まずは睡眠のメカニズムからみていきましょう。
【レム睡眠とノンレム睡眠】
人の「睡眠」には浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠があり、就寝時はレム睡眠とノンレム睡眠が交互に起こっていることはよく知られています。
浅い眠りのレム睡眠状態では脳は起きている時と同じように活発に働いています。そのため、どんな夢をみたのかを覚えており、何かに追いかけられたり恐怖を感じる夢の場合は「怖い」という感情も感覚として覚えています。みた夢を比較的しっかり覚えている時は睡眠は全体的に浅かったと言えます。
逆に夢はみていたけどあまり覚えていない、という時もあります。その場合、深い眠りのノンレム睡眠の「深さ」がしっかりあったと言えます。
「睡眠」は脳波と眼球運動のパターンによって、レム睡眠とノンレム睡眠に分けられています。眼球運動を伴う睡眠がレム睡眠、眼球運動を伴わない睡眠がノンレム睡眠です。夢をみることは脳が活発に働き、それに反応して眼球運動が起こり、体は「眠っているけど、起きている」そんな状態です。成人でのレム睡眠ノンレム睡眠の交互におこる反復パターンは90分から110分程度と言われています。入眠から90分ほどで深いノンレム睡眠に達し、次にレム睡眠に移行していきます。理想的な睡眠が7時間から8時間と言われているのはこの反復パターンを根拠にしています。
「寝てるけど、寝足らない。」「寝てるのに、疲れが取れない」という感覚がある場合は、その反復パターンが乱れていると考えられます。乱れる理由は様々ですが、主に睡眠時間の十分な長さが足らない場合があげられますが、不規則な生活や極度のストレスにさらされていると理想的な反復パターンに戻りにくくなると言われています。
しかし、健康に留意しながら睡眠をとっていても、実はこの睡眠のパターンは年齢と共に変化をしていきます。
生まれてから生後3ヶ月までは一日約17時間ほど眠っています。赤ちゃんは眠っているイメージがありますね。そしてお昼寝をしながら少しづつ起きている時間が増えていき、学童期と呼ばれる6歳ごろになると9時間から11時間くらいになり、お昼寝をしなくなり夜にまとまった睡眠をとるようになります。これは睡眠が人の身体の発達成長に関係していて、子どもにとって眠ることは健康に成長するために必要なことである理由です。「寝る子は育つ」という言葉はまさにその通りなのです。
成人になり高齢になっていく過程でよく耳にすることに「年をとったから熟睡できない」「寝るのに体力がいる」という言葉です。個人差はありますが高齢になると昼間に何度か居眠りをし、夜に眠れないというパターンになることが多い傾向にあります。トータルの睡眠時間はおおむね変化はなくても、睡眠自体が浅くなり、ノンレム睡眠が少なくなる傾向にあるとのデータがあります。レム睡眠の状態が多くなるため、なかなか眠れない、すぐに目が覚めてしまうということになります。健康のために「睡眠」は大切ですが年齢的なことを考慮して「絶対睡眠時間をたくさんとらないといけない」と考えずに、昼間の居眠り時間を短くしたり、体を動かすなど「眠り」のために出来ることを工夫することもいいかも知れません。
【睡眠の効果】
「睡眠」が健康に関わっていることはみなさんご存じですね。より良い「眠り」をすることで、日中に起こった体の様々なダメージの「修復」を行います。自律神経のバランスを整え、副交感神経を働かせて、脳や内臓、ホルモン系から免疫系に至るまで、体内のメンテナンスをしていきます。成長ホルモンは眠っている時に分泌されます。子どもの成長を促しますが、成人高齢の方にもこのホルモンは大切です。壊れた細胞の修復や疲労効果があり若返りホルモンとも言われています。子どものようにノンレム睡眠のパターンをうまくとれれば若返りもあり、かも知れませんね。
【半覚醒状態とは】
では、「うとうと」である「半覚醒状態」とはどんな状態なのでしょう。「睡眠」にはレム睡眠とノンレム睡眠があることをお話ししましたが、「半覚醒状態」は入眠から深いノンレム睡眠に移行する段階で起こると言われています。
実はノンレム睡眠には深い睡眠に達するまでに4段階に分かれているとの研究結果があります。ステージ1からステージ3まで約60分ほどで到達し、深いレベルのステージ4を経て入眠から90分から110分ほどでレム睡眠になり、そしてまたノンレム睡眠のステージ1からノンレム睡眠レム睡眠の反復パターンが睡眠中は繰り返されます。
「半覚醒状態」はノンレム睡眠のステージ1で起こると考えられています。入眠時直後の状態で、まだ脳波は活動しているが体は活動を止めている覚醒状態とも睡眠状態とも言えない状態で「リラックスした覚醒状態」と表現されます。
ノンレム睡眠のステージ4は「熟睡」の状態で、この状態で起こされると「寝ぼけ」のようにすぐには覚醒できません。また「ぐっすり」眠っていると周りの音や人の話し声も気にならないですね。
「半覚醒状態」ではまだ脳は「覚醒状態」ですので、周りの音や人の声は意識として認識し、呼びかけにも答えることもできます。施術中に「うとうと」されていてもお声がけをすると答えてくださいますし、店内の音楽やアロマの香りも楽しんでいただけています。
この「半覚醒状態」は身体を休ませつつ、意識があり、すぐに活動できる状態です。人だけでなくこの状態を利用しているのがイルカやクジラの動きを止めると死に至る動物です。イルカは泳ぎ続けながら左右の脳を休ませているという研究結果があります。また、瞑想や催眠状態も「半覚醒状態」に近いとも言われています。
【半覚醒状態の効果】
「リラックスした覚醒」というようにその効果は「リラックスした状態」から得られるものと同じです。筋肉の緊張が緩み、呼吸が深くなり、そのため血流がよくなります。そして「半覚醒状態」はノンレム睡眠になります。深い眠りには入っていませんが、20分から30分あると深い眠りに近づいていき、体は「回復モード」に入ります。「うとうと」する「気持ち良さ」を感覚で実感することでさらにリラックスしていけます。また、「半覚醒状態」を体感することで「睡眠の質」を上げることも期待できます。
「眠りにくい」と感じている方はレム睡眠ノンレム睡眠のパターンが乱れているかも知れません。ノンレム睡眠が減少し、レム睡眠の割合が多くなっている場合、半覚醒状態を体感することでノンレム睡眠のステージを再構築して睡眠のバランスを取り戻すことが期待できます。
【おすすめのうとうと】
リラックスして体にとって回復を改善することが期待できる「うとうと」を是非お越しになって味わっていただきたいですが、なかなかお越しが難しい方に日常でちょっとした時間でできる「うとうと」のおすすめを紹介します。
まずはお昼寝。王道ではありますが、お昼寝は「眠りすぎない」ことがポイントです。15分~30分が目安です。リビングのソファやオフィスの椅子などですぐに起きて活動できるようにしましょう。携帯のアラームなどを利用して時間管理をしてみてください。またクッションなどで心地よくなる「眠る環境」を整えることにより「うとうと」がより良くなります。さらに眠る前にコーヒーや緑茶などカフェインのあるものを飲むと目覚めがスムーズです。カフェインは摂ってから約30分ほどで効果が表れますので、すっきり目覚めることができます。
次に電車やバスなどでの移動時間での「うとうと」です。。座れた場合には是非、目を閉じてみてください。乗車時間にもよりますが楽な呼吸をしながら「体を休めるイメージ」でリラックスしてみてください。ポイントは深く座らず、目的の駅に着いたらすぐに動ける態勢を保ってください。朝の電車やバスでは携帯のチェックや読書をされている方を多く見かけます。必要なこともあるかと思いますが、「疲れがたまっているな」と感じた時は目や脳を休めることをおすすめします。
【まとめ】
「うとうと」する状態は体が「リラックス」して「回復」しようとしている状態です。日常で少しづつ溜まってくる「疲れ」は一気に解消することは出来ません。明日は久しぶりの休みだからゆっくり「寝だめ」しよう、とお昼近くまで休んでも改善には至りません。人の睡眠にはパターンがあり、睡眠は私たちの健康に深く関わっています。疲れを感じている時は「寝だめ」するのではなく、出来るだけいつもの時間に起床して「お昼寝でうとうと」してみてください。日常のちょっとした時間の「うとうと」は実は健康に生活する方法のひとつでもあります。
是非、「うとうと」の「リラックスした覚醒」を健康のための方法に取り入れてみてください。ただ「居眠り」するのではなく、健康のため、疲労回復のメンテナンスのために戦略的に「うとうと」してください。
「うとうと」が疲労をためないスッキリした毎日に近づくことを願っています。